コラム

Livret de famille(家族手帳)について

Livret de famille(家族手帳)について

Livret de familleとは、婚姻または第一子出生を市役所に届け出た際に、フランス政府から発行される公的書類です。
Livret de familleには、配偶者双方(両親)及び第一子の情報(氏名・生年月日等)が記載されます。
そして、第二子、第三子が生まれて家族が増えるごとに、新たな記載がなされる仕組みになっています。

フランスには、このLivret de familleを除いては、日本の戸籍のように、同一世帯の情報が全て記載された公的書類は存在しません。
身分関係を示す公的書類は、個人単位で発行されます。例えば、出生証明書、婚姻証明書、死亡証明書などがあります。
ですので、例えばAさんの出生証明書を見ると、Aさんの氏名・生年月日・Aさんの両親の氏名等は記載されていますが、Aさんの兄弟姉妹についての記載はありません。

このため、いわばLivret de familleが、同一両親から生まれた兄弟姉妹についての情報が記載された唯一の公的書類となります。
両親のいずれかが死去し相続が開始する際には、このLivret de familleを元に相続人の特定が行われます。
問題は、Livret de familleが紛失してしまっているときです。
Livret de familleは、両親に対して発行されるもので、相続人から再発行の請求はできません。このため、両親の双方が亡くなってしまっている場合には、Livret de familleの再発行を受けることができなくなってしまいます。

フランスでは、相続手続を公証人(notaire)が行うことが多いので*、相続人の特定は公証人の職務であるとも言えます。
ただ、その公証人でさえも相続人の特定ができない時は、Généalogisteという職業に依頼し、このGénéalogisteが相続人の調査・特定をしていくことになります。

*フランスでは、以下のいずれかの場合には、相続手続を公証人に依頼することが必須となります。
・遺産の中に不動産が含まれる場合
・遺産総額が5000ユーロ以上の場合
・遺言または夫婦間贈与があった場合