Q & A (フランスの方からよくある質問)

当事務所にこれまでにお寄せいただいたご質問をカテゴリーに分けてまとめました。具体的な相談などに対するご回答も掲載しておりますので、ご参考にしてください。
ただし、質問及び回答のいずれも、あくまでも一般的な参考用に概略を掲載するものですので、具体的なケースについては、個々に専門家などの助言を受けることをお勧めいたします。

国際離婚

日本においては、以下の4つの離婚方法があります。
  • ①協議離婚
  • ②調停離婚
  • ③審判離婚
  • ④裁判離婚
日本では、①協議離婚が最も多い離婚方法であり、夫婦の合意があれば協議離婚が可能です。
②~④は、裁判所を介した離婚方法になりますが、裁判手続の前には調停を経る必要があるので(調停前置主義)、まずは、離婚を希望する当事者は家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。調停では、中立の第三者である調停員を介して、離婚条件について話し合いがなされ、合意に達すれば調停が成立となります。
調停でも合意に達しない場合には、離婚裁判となり、家庭裁判所の裁判官が離婚事由の有無やその他離婚条件について判断することになります。(場合により、離婚裁判の前に、裁判官により審判がなされる場合もありますが、審判に不服がある場合には、離婚裁判となります。)
離婚することについて当事者での合意が得られない場合、民法では、以下の事由がある場合に離婚ができると定めています(民法770条)。
  • ①不貞行為
  • ②悪意で遺棄されたとき
  • ③生死が3年以上明らかでないとき
  • ④強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと
  • ⑤その他、婚姻を継続しがたい重大な事由があること
    上記①~④に当てはまらない場合であっても、たとえば、ドメスティックバイオレンス(DV)がある等して婚姻関係が破綻したと認められるような場合には、「婚姻を継続しがたい重大な事由がある」として、離婚が認められる場合があります。
日本法では、別居期間が何年あれば離婚できるということを明確に定めた条文はありません。
もっとも、別居期間が長引けば、「婚姻を継続しがたい重大な事由がある」として、民法が定める離婚事由に該当する可能性があります。
一般的には、3年~5年程度の別居期間があれば、離婚事由が認められる可能性があります。
共同親権制度を採用しているフランスとは異なり、日本法では、単独親権制度を採用しています。
したがって、離婚するに際しては、どちらの親が親権者となるかを決める必要があります。
親権者の決定に際しては、子どもの利益の観点から、家庭裁判所では以下のような点が考慮されます。
  • • 監護の継続性
    子どもの現在までの養育環境を考慮し、現在の養育環境が問題なければ、安定性を重視して、継続させる方向で考えます。
  • • 子どもの意思
    子どもがある程度の年齢に達していれば、子どもの意見が尊重されます。
  • • 母親の優先
    特に子どもの年齢が幼い場合には、親権者として母親が優先される傾向にあります。
  • • 面会交流についての態度
    合理的な理由なく他方の親との面会交流を拒むことは、親権者決定の際に、マイナスに働く可能性があります。
その他、経済的状況や、健康状況、監護補助者の有無等、様々な要素を総合的に考慮した上で、親権者が決定されます。
裁判所では、養育費の算定に関して、養育費算定表を公表しており、双方の収入に基づいて、養育費が定められます。
なお、フランスのように、養育費が不払いの場合に国が立て替えて支払いをする制度は、日本にはありません。
夫婦が婚姻期間中に築き上げた財産については、夫婦共有財産として、夫婦は互いに2分の1ずつの権利を取得するというのが、日本での基本的な考え方です。
他方、結婚前から一方が持っていた財産や、婚姻期間に得た財産であっても、夫婦の協力とは無関係に取得した財産(たとえば相続等)については、特有財産となり、財産分与の対象にはなりません。
過去の裁判例においても、内縁関係解消に際して、離婚する場合と同様に財産分与が認められており、内縁関係にあった期間に、協力して築き上げた財産については、財産分与の対象になると考えられます。
日本法では、離婚後は、相手方配偶者に対して扶養する義務はありません。子供がいる場合に、子の養育費だけが問題となります。
一方、不貞行為やひどいDVが原因で離婚に至ったようなケースでは、責任のある配偶者は、もう一方の配偶者に対して、慰謝料の支払いを命じられることもあります。慰謝料は、事案によりますが、50万円~300万円程度の額が認められることが多いです。

国際相続

まずは、遺言書がある場合には、遺言書に従い、遺産分割を進めていくことになります。
遺言書がない場合には、相続人の間で、遺産分割方法について協議を行い、全員の合意が得られた場合には、遺産分割協議書を作成します。合意に達しない場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになります。調停でも話し合いがまとまらない場合には、審判となり、裁判所が遺産分割方法について判断をすることになります。
なお、日本では夫婦財産制は、別産制を採用しており、一方配偶者が死亡した場合には、遺産分割の前に夫婦間での清算は行われず、被相続人の名義の財産を相続人全員で分割することになります。
法定相続分は、以下のように定められています。
法定相続人は、配偶者と血族で、配偶者がいる場合必ず相続人となり、血族は、子(代襲相続人含む)・両親等の直系尊属、兄弟姉妹(代襲相続人含む)の優先順位で相続人になります。
配偶者と他の相続人がいる場合の法定相続分は、以下のとおりです。
相続人 配偶者の相続分 他の相続人の相続分の合計
配偶者と子 1/2 1/2
配偶者と被相続人の父母 2/3 1/3
配偶者と被相続人の兄弟 3/4 1/4
通常の遺言方式としては、フランスと同様に、以下の3つの遺言方式が認められています。
  • ①自筆証書遺言
    遺言者が全文を自筆で作成する遺言です。簡単な遺言形式ですが、要件の不備で無効になるリスクがあります。
  • ②公正証書遺言
    公証役場において公証人関与のもとで作成する遺言です。
  • ③秘密証書遺言
    遺言書の内容を秘密にしながら、遺言書の存在のみを公証役場で証明してもらう遺言です。①と同様に要件の不備で無効になるリスクがあります。
フランスと同様に、日本では、遺留分が認められており、特定の相続人に財産を相続させた場合には、遺産を取得できなかった者から遺留分減殺請求がなされるおそれがあります。
遺留分権者は、配偶者や子(代襲相続人を含む)の他、子がいない場合には直系尊属にも認められています。
遺留分の割合は、法定相続分の1/2相当額となっています。
遺言者の最後の住所地が日本であれば、日本の裁判所に管轄が認められることになります。
その場合に、どの国の法に従って検認するか(準拠法)については、実務上は、法廷地法を適用していることが多いと言われています。
実際に在日外国人の遺言書の検認が日本の裁判所で認められた例もあり、本件においても、日本の家庭裁判所で、日本法に従い、検認ができるものと考えられます。
2019年相続法改正により、自宅の所有者が亡くなった場合に、残された配偶者が自宅に無償で住み続ける権利が正面から認められました(配偶者居住権)。
遺産分割においては、配偶者居住権を金銭的に評価した上で、遺産分割がなされますが、所有権を取得する場合に比べて、配偶者居住権の評価額は低くなるため、その分、配偶者が取得できる流動資産が増えることになります。
また、遺産分割が確定するまで、仮に配偶者が自宅不動産を相続しない場合であっても、最短でも6か月間、引き続き自宅に住み続けることができる権利も認められています(配偶者短期居住権)。
内縁関係の場合、内縁関係解消時における財産分与が認められているのとは異なり、実務上、相続する権利は認められていません。
そこで、内縁関係にある者に財産を残す方法としては、生前贈与や、遺言書において遺贈することが考えられますが、他の相続人の遺留分に留意する必要があります。
日本法においては、プラスの財産もマイナスの財産も、相続人が相続するという制度を採用しており、負債も引き継がれることになります。
ただし、フランスと同様に相続放棄の制度があり、財産より負債の方が多いような場合には、相続放棄の意思表示を家庭裁判所にすることができます。もっとも、相続放棄ができる期間としては、被相続人が死亡し、自身が相続人となったことを知った時から、3か月以内にしなければならないことに留意が必要です。

在留資格

外国人の配偶者が、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」の配偶者の在留資格で日本に滞在している場合には、離婚をした日から14日以内に、入管にその旨の届け出をする必要があります。
そして、たとえ残りの在留期間がある場合でも、配偶者としての活動を6か月以上行っていない場合には、在留資格の取消しの対象となります。
そこで、離婚後に引き続き日本に滞在を希望する外国人配偶者は、「定住者」や就労系の在留資格へ変更する申請を行う必要があります。
日本人との間の子を監護しているような場合や、そうでなくとも、日本人の配偶者との間におおむね3年程度の実態のある婚姻生活を送っていた場合には、定住者への在留資格の変更が認められる可能性があります。
身元保証人は、入国管理局に対して、申請者の滞在費、帰国旅費等を保証することとされています。したがって、身近な親戚、友人になってもらうことがベストだと考えられます。
どうしてもなってくれる人が見つからない場合には、ご事情によっては、当事務所の弁護士が身元保証人となります。詳細についてはお問い合わせください。
入国管理局から、永住許可に関するガイドラインが公表されています。それによると、素行が善良であること(法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること)や独立の生計を営むに足りる資産や技能を有していること(日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること)などが考慮要素とされています。
ガイドラインの内容については、下記の法務省のウェブサイトをご参照ください。
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyukan_nyukan50.html
入国管理局から、在留資格の変更,在留期間の更新許可のガイドラインが公表されています。それによると、素行が不良でないことや独立の生計を営むに足りる資産・技能を有していることなどが考慮要素とされています。
ガイドラインの内容については、下記の法務省のウェブサイトをご参照ください。
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri07_00058.html