生命保険金・
火災保険金の
不払いへの対応

支払い拒否の理由

1. 1

   免責事由に該当

   免責事由とは、保険事故が発生した場合でも保険金を支払うことができない事由をいいます。例えば、被保険者が、高速道路をわざと逆走して対向車と衝突し、死亡したような場合には免責事由に該当し、保険金が支払われない場合があります。

2. 2

   重大事由に該当

   「被保険者が保険会社から保険金をだましとる目的で事故を偽装した」などの重大事由で契約が解除となった場合、保険金・給付金は受け取ることができません。

3. 3

   告知義務に違反

   保険契約を締結する際に、既往症について申告することが多くあります。既往症の内容によって生命保険に加入できるかどうか、保険会社が判断します。この既往症に虚偽の記載をした場合（例えば、過去にがんにり患したことがあるにもかかわらず、そのことを申告しなかった場合）には、保険金の支払いがなされないことがあります。

解決事例

1. 1.

   事案

   被保険者は、川でうつぶせに浮いていたところを通行人に発見され、死亡が確認されました。
   そこで、死亡保険金の受取人は、保険会社に対して、死亡保険金の支払いを請求しました。
   保険契約には、保険契約開始から2年以内の自殺の場合には、免責事由が定められていました。
   保険金の支払いがなされなかったため、弁護士に相談することになりました。

   解決

   本件では、事件性がないこと、具体的な死因が明らかとなっていないこと、入水前の行動・状況が不明なこと、家庭内トラブルなどがないこと、経済状況も特段問題がないこと等から、被保険者には自殺となり得る動機がありませんでした。また、被保険者が精神科に通院した経歴はあったものの、幻覚や妄想もなく、「死にたい」と訴えたことも自傷行為を行ったこともなかった等の事情が存在していました。これらの事情が総合的に考慮され、最終的には自殺とも事故とも断定できないとして死亡保険金の支払いが認められました。

2. 2.

   事案

   被保険者は統合失調症を患っていました。ある日、被保険者は、薬物を大量摂取し、病院に救急搬送され入院しました。
   そこで、保険会社に対して、救急搬送された際の入院については災害入院給付金を、その数日後の入院については疾病入院給付金をそれぞれ請求しましたが、支払いが拒絶されました。

   解決

   本件では、統合失調症の影響によって危険認知能力を失ったものであり、災害入院給付金については免責事由に当たるとして支払いがなされませんでしたが、その後の入院は統合失調症の治療のためであるとして、疾病入院給付金については支払いが認められました。

3. 3.

   事案

   被保険者は、廃屋近くで衰弱死していることが確認されました。
   そこで、死亡保険金の受取人は、保険会社に対して死亡保険金の支払いを請求しました。
   保険契約には、保険契約開始から2年以内の自殺の場合には、免責事由が定められていました。本件では、遺体発見日の数日前に契約から2年が経過していたところ、保険会社は、死因は自殺であると認定し、死亡保険金の支払を拒絶しました。

   解決

   本件では、そもそも、被保険者が衰弱死した具体的な状況が不明であるため、事故死の可能性もあり、自殺とは断定できないことや、仮に自殺であるとしても死亡日を確実に証明できないため、免責期間内の自殺であると断定できないものとして、死亡保険金の支払いが認められました。

解決までの流れ

1. 保険事故の発生

   

2. 保険金の請求

   

3. 保険会社からの
   支払拒絶

   

4. 弁護士への相談
   ・委任

   

5. 弁護士による
   交渉・裁判

   

6. 解決

   

弁護士費用

ホームページのフォームから
ご依頼いただいたお客様については、
相談料は無料です。

※そのほかに印紙代、郵便代などの実費を
ご負担いただきます。

保険関連事件の用語集

• 異動

  保険契約者の申し出により、保険期間中に保険の契約内容や契約条件を変更すること

• 介入権

  保険契約の当事者ではない第三者（破産管財人や差押え債権者など）が解約返戻金を取得するため、生命保険契約等を一方的に解除・解約することがあります。しかし、被保険者が高齢であったり、病気をもっていたりすると、再び同程度の保障内容の保険に加入することができないため、保険金受取人は大きな不利益を被ります。そこで、被保険者など保険金受取人の利益を守るため、保険金受取人が解約返戻金相当額を負担することによって、契約を存続させることが認められています。このような権利を介入権といいます。

• 解約返戻金

  保険を契約途中で解約したときに、保険契約者に対して払い戻されるお金のこと

• 過失

  注意不足により人や物に損害を与えること、あるいは注意不足それ自体

• 給付金

  保険事故が発生したときに保険会社が保険契約者に対して支払うお金のこと

• 契約応当日

  保険期間中に迎える、毎月、半年毎または毎年の契約日に対応する日のこと（例えば、月単位の契約応当日 契約日が3月1日の場合、4月1日、5月1日、6月1日・・・となります。）

• 契約者配当金

  保険会社が予定利率を上回る運用益をあげた場合に、 保険会社から保険契約者に分配されるお金のこと

• 契約転換

  現在契約している保険の積立部分や積立配当金を下取り（転換）価格として、新しい契約の保険料にあてること

• 契約日

  保障開始の日（責任開始期の属する日）のこと。契約年齢、保険期間などの計算の基準日になります。

• 故意

  わざと人や物に損害を与えること、あるいはわざとであることそれ自体

• 告知義務

  生命保険の加入に際、自分の健康状態や病歴等に関して保険会社の質問に対してありのままに事実を回答する義務のこと

• 再調達価額

  保険の対象となる「財物」と同等（同じ構造・用途、質、規模など）のものを現時点で再築または再購入するために必要な金額をベースとした評価額

• 詐欺

  他人に真実でないことを真実と勘違いさせて意思表示をさせること

• 錯誤

  真実でないことを真実と勘違いすること

• 時価

  保険事故発生時の保険の対象物の価額

• 重過失

  注意不足の度合いが、わざと行った場合と同程度に大きいこと

• 消滅時効

  一定期間を過ぎると、履行義務者に対して履行を請求することができる権利が消滅すること

• 除斥期間

  一定期間を過ぎると、履行義務者に対して履行を請求することができる権利が消滅すること。消滅時効と異なり、時効の完成猶予（一時的に時効の完成が先延ばしにされること）や時効の更新（改めて時効期間が始まること）がありません。

• 新価

  保険の対象物と同等の物を新たに建築・購入するのに必要な金額

• 全損

  保険の目的物が完全に滅失した場合、修理不可能な場合（物理的全損）、あるいは、修理はできるけれども修理費用が目的物の時価額または再調達額を上回る場合（経済的全損）

• 通知義務

  保険契約者または被保険者が、保険契約の締結後にその内容に変更が生じた場合、保険会社に対してその事実を報告する義務のこと

• 被保険者

  保険事故が発生した場合に、必要な給付を受けることができる人のこと

• 弁護士費用特約

  保険事故などが発生した際に、弁護士に相談をした際の相談料や、事件の解決を依頼した際の費用（着手金、報酬金）を補償する特約

• 保険価額

  保険事故が発生した場合に、被保険者が被る可能性のある損害額の最高見積額のこと

• 保険期間

  保険会社が保険金や給付金などの支払いを保証する期間のこと

• 保険金

  事故が発生した場合、あるいは被保険者が満期まで生存した場合に、保険者から受取人に対して支払われる金員のこと

• 保険金受取人

  保険会社からの保険金を受け取る契約上の権利を有する人のこと

• 保険契約者

  保険会社と契約を締結し、保険契約上の権利と義務を有する人のこと

• 保険事故

  保険会社に保険金支払義務が発生する事故のこと

• 保険代位

  損害保険において保険会社が被保険者に対し保険金を支払った場合、一定の要件の下に、被保険者の有する権利が保険者に移転すること

• 保険の目的

  保険契約において保障の対象となる物（火災保険であれば家財、自動車保険であれば自動車など）のこと

• 保険料

  保険契約者が保険会社に対して、保障の対価として支払う金員のこと

• 保険料振込期間

  保険契約者が保険会社に対して、保険料を支払う期間のこと

• 保険料率

  基準となる保険金額や給付金日額などに対する保険料の割合のこと

• 満期日

  保険期間が終了する日のこと

• 満期返戻金

  保険契約満期時に、保険会社から保険契約者に対して支払われる金員のこと

• 免責

  損害が発生しても保険会社が保険金を支払う責任を負わないこと

• 免責金額

  保険事故によって発生した損害のうち保険金が支払われない金額（保険契約者が負担しなければならない金額）のこと

• 約款

  保険会社が保険契約の内容の詳細について定めた書面

• 予定利率

  生命保険会社が金銭を運用することによって予定している利回りのこと