
永住許可申請
-
- 1 永住者の在留資格を取得するメリット
- 永住者の在留資格を取得した外国人については、日本における活動内容に制限がなく、また、在留期間の定めもありません。つまり、永住者の在留資格は、入管法上規定された在留資格のなかで最も広範な活動を行うことのできる在留資格であり、取得することに大きなメリットがあります。
- (永住者の在留資格を取得することによるメリットの例)
- ① 活動に制限がなくなります。就労系の在留資格では認められていない単純労働などの仕事につくことも許されます。また、「日本人の配偶者等」のように夫または妻の在留資格に付随して在留資格を取得している外国人については、配偶者と離婚した場合、「定住者」等の在留資格に変更をしない限り、日本に滞在し続けることはできませんが、永住者の在留資格を取得していれば、身分関係が変動した場合であっても、在留資格を変更する必要がありません。
- ② 在留期間の制限がなくなります。永住者の在留資格を取得した後は、在留期間を更新したり、在留資格を変更したりする必要がなくなります。
-
- 2 永住許可申請の要件
-
永住者の在留資格を取得するためは、入管法及び入国管理局が公表している永住許可に関するガイドライン(http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyukan_nyukan50.html)によると、以下の要件をみたすことが必要とされます。
-
① 素行が善良であること
法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいることを言います。 - ② 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれることを言います。 - ③ その者の永住が日本国の利益に合致すると認められること
- ア 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要するとされています。
- イ 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。納税義務等公的義務を履行 していること。納税の義務を果たしていない場合には、永住許可が認められない可能性があります。
- ウ 現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
ただし、当面の間は、在留期間3年をもって「最長の在留期間」とするものとされています。 - エ 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
※ 日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には、①及び②に適合することを要せず、また、難民の認定を受けている者の場合には、②に適合することを要しないとされています。
※ また、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合や、定住者である場合等には、上記③アの原則10年在留に関する特例が設けられています。
-
① 素行が善良であること
-
- 3 永住許可の申請から取得までの期間
-
その他の申請(在留期間の更新、在留資格の変更等)よりも多くの時間を要する傾向にあります。一般的には、半年から1年程度の期間をみておく必要があるように思われます。
なお、永住許可申請をしている間に在留期間が到来してしまう場合には、オーバーステイとならないように現在の在留資格の更新あるいは他の在留資格への変更が必要となります。
- Case 1
- 事案
相談者は、アジアのA国の国籍の女性です。日本の貿易会社に勤務し、技術・人文知識・国際業務の在留資格で滞在しておりました。ご自身で永住許可申請を行いましたが、不許可となったため、当事務所に相談に来られました。 - 解決方法
入国管理局で不許可の理由を確認したところ、相談者の方の収入が不足しているとのことでした。幸いにも相談者の雇用主の方は、相談者が永住者の在留資格を取得することを望んでいたため、弁護士から雇用主の方にかけあい、相談者の方の給与をあげてもらいました。その後、改めて相談者の方の収入資料を添付し、永住許可申請を行ったところ、無事、相談者の方は、永住者の在留資格を取得することができました。