親子関係事件
渉外的要素の関わる親子関係事件は当事務所の弁護士がこれまで積極的に取り組んできた分野の一つです。渉外親子事件については、日本人同士の事件とは異なり、外国法例の調査や、準拠法や管轄など多くの点を検討する必要があり、専門的な知識と経験が必要とされます。
以下に当事務所の弁護士が取り扱った事件をご紹介いたします。
解決事例
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- Case 1(父死亡後に検察官を被告として訴訟提起し、認知請求が認められた事例)
- 事案
- 相談者は、アジアのA国在住のA国人女性です。日本人男性との間に子を出生し、A国で男性とともに生活をしていましたが、男性はA国で死亡してしまいました。男性は子の出生について日本大使館等に届出をしていなかったため、子と男性との法的な親子関係は未確定でした。女性は、日本人男性と子との間の親子関係を法的に確定し、子とともに日本で生活したいと考え、当事務所に相談に来られました。
- 解決方法
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父親の実母(子の祖母)と連絡が取れたため、祖母との間でDNA鑑定を行ったところ、血縁関係が科学的に明らかとなりました。そして、父が既に死亡しているということで、検察官を被告として、DNA鑑定の結果を証拠として添えて裁判所に訴訟提起しました。その結果、無事に請求を認容する判決が下されました。
その後、子については、在A国日本大使館で国籍取得の手続を行い、無事日本に入国することができました。母親も、「定住者」の在留資格を得て日本で子と一緒に生活をしています。
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- Case 2(父が行方不明だったため、公示送達により訴訟提起し、認知請求が認められた事例)
- 事案
- 相談者は、アジアのB国在住のB国人女性です。日本人男性との間に子を出生しましたが、男性はその後帰国し、音信不通となってしまいました。女性は、男性に子を認知してもらい、将来は子とともに日本で生活をしたいと考え、当事務所に相談に来られました。
- 解決方法
- 相談者が把握している日本における男性の住所宛に手紙を送付しましたが、宛先不明ということで返送されてしまいました。また、男性の親族等にも手紙を送付しましたが、返信はありませんでした。そこで、住所不明ということで訴訟を提起し、公示送達の申立てをしました。裁判所はこれを認め、その他の証拠関係から男性との間の親子関係に疑いはないとして認知請求を認める判決を下しました。
相続・遺産分割
外国人の方が日本で死亡した場合、日本の裁判所に遺産分割の国際的裁判管轄があるのかという点や、遺産分割の準拠法がどうなるのかという点など、多くの複雑な論点が発生します。
また、外国人の方が遺言を作成したいと考えた場合も、どこの国で遺言を作成すべきなのか、日本で遺言を作成するとした場合どのような遺言が有効なのか、どこの国の法律が準拠法となるのかなど検討すべき点が多々発生します。準拠法がどこの国の法律になるのかによって、遺言の有効性(例えば、録音テープに声を吹き込んでする遺言)などが異なってきますので、知識、経験不足による誤ったアドバイスは致命的なミスにつながりかねません。
このように被相続人が外国人であったり、相続財産が海外にあり、あるいは、相続人が海外に居住しているなど渉外的要素の関わる相続・遺産分割事件は、豊富な経験と専門的知識が必要とされる分野です。
この点、当事務所での弁護士は、これまで多くの渉外相続事件を取り扱ってきており、豊富な知識と経験を有しております。
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- Case 1
- 事案
- 相談者はアジアのC国籍の女性です。日本で欧米のD国籍の男性と婚姻生活を送っていましたが、男性は、数か月前に死亡しました。男性との間に子はいません。男性には、D国に兄弟姉妹がいることが分かっていましたが、これまで女性は連絡を取ったことは一度もありませんでした。相続財産としては、日本の銀行に預貯金、女性が居住しているマンションなどがありました。相談者は、当初、自分で相続手続を行い、預金の払戻し等を行おうとしましたが、うまくいかなかったため、当事務所に相談に来られました。
- 解決方法
- D国に居住する相続人と連絡を取り合い、遺産分割協議書を作成して、預貯金の払戻しや不動産の移転登記手続などを行い、無事、相続手続を終えることができました。
外国人刑事
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- 1 外国人刑事事件の留意点
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外国人の刑事事件については、刑事罰を受けることにより、判決後に退去強制手続が開始されたり、在留資格を更新する際に更新が不許可とされたりすることがあります。そのため、外国人の方の刑事事件については、単に今現在問題となっている刑事事件の見通しについてアドバイスをするだけでなく、刑事罰が当該外国人の在留資格に与える影響を考慮したアドバイスをするとともに、その後に引き続く入管手続にも対応する必要がある点で、一般の刑事事件とは異なる特殊性があります。
当事務所の弁護士は、逮捕、起訴された外国人の方、あるいは、その親族から依頼を受け、多くの刑事事件を取り扱ってきました。その中には、罪状を否認している事件や裁判員裁判など複雑・困難な事件も含まれておりますが、その多くで依頼者様に納得いただける処分結果を獲得しております。
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- 2 刑事事件と在留資格
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日本で罪を犯して、有罪判決を受けた者については、入管法の定める退去強制事由に該当し、国外退去を命じられることがあります。また、有罪判決を受け、強制送還された者については、上陸拒否事由に該当し、日本への入国が制限される場合があります。
退去強制事由に該当しない刑事処分を受けた場合でも、在留期間更新あるいは在留資格の変更の際に素行不良として、不利に斟酌される可能性があります。