外国人刑事
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- 1 外国人刑事事件の特殊性
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- ① 入管法の知識の必要性
- 外国人の刑事事件については、刑事罰を受けることにより、判決後に退去強制手続が開始されたり、在留資格を更新する際に更新が不許可とされたりすることがあります。そのため、外国人の方の刑事事件については、単に今現在問題となっている刑事事件の見通しについてアドバイスをするだけでなく、刑事罰が当該外国人の在留資格に与える影響を考慮したアドバイスをするとともに、その後に引き続く入管手続にも対応する必要がある点で、一般の刑事事件とは異なる特殊性があります。
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- ② 通訳の必要性
- 被疑者・被告人が外国人である場合には、刑事手続のあらゆる段階で通訳が必要になるという特殊性があります。取調べには通訳人が立ち会いますし、法廷での審理の際も法定通訳が法廷でのやりとりを通訳して、被告人に説明します。
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- ③ 保釈の困難、保釈条件の特殊性
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在留資格のない外国人の場合は、保釈が認められても保釈と同時に入国管理局に収容されてしまいます。そのため、保釈を認める実益がなく、また、保釈後に公判期日への被告人の出頭が困難となることから、保釈が認められることは極めて少ないのが実情です。
他方、在留資格のある外国人の場合は、しっかりとした身元保証人がいる場合には保釈が認められることもありますが、弁護人が被告人のパスポートを預かることなど、一般の刑事事件における保釈とは異なる条件を付されることがあります。
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- 2 刑事事件と在留資格
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有罪判決を受けた後の被告人の身柄、在留資格の帰趨は、科された刑罰の内容によって異なります。
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- ① 無期または1年を超える懲役または禁錮の刑が確定すれば、退去強制事由となります(全部執行猶予付き判決を受けた者、一部執行猶予付き言渡しを受けた者であって、その刑のうち執行が猶予されなかった部分の期間が1年以下の者を除く)。 また、不法入国・オーバーステイ・薬物犯罪などについては、全部執行猶予付き判決を受けた場合であっても、退去強制事由に当たるとされているので注意が必要です。
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- ② 有罪判決を受け強制送還された者については、上陸拒否事由に該当し、日本への入国が制限される場合があります。
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- ③ 退去強制事由に該当しない刑事処分を受けた場合でも、在留期間更新あるいは在留資格の変更の際に素行が不良であるとして、不利な要素の一つに斟酌され、申請が不許可となる可能性が出てしまいます。
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- 3 当事務所にご依頼いただくメリット
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当事務所の弁護士は、入管法に関する豊富な経験と専門的知識を有しております。したがって、単なる刑事事件の見通しについてアドバイスするだけでなく、その後に続く入管手続における見通しも踏まえたアドバイスを提供することが可能です。
また、当事務所の弁護士は、英語でコミュニケーションを取ることが可能です。英語圏の方については、通訳を介する必要がないため、通訳人の都合に関わらず、弁護士が迅速に接見に赴き、事件に対応することが可能です。
既に国選弁護人、私選弁護人がついている場合であっても、入管法に精通した弁護士の意見を聞きたいという場合には、セカンドオピニオンを提供させていただきます。
当事務所の弁護士は、逮捕、起訴された外国人の方、あるいは、その親族から依頼を受け、多くの刑事事件を取り扱ってきました。その中には、罪状を否認している事件や裁判員裁判など複雑・困難な事件も含まれておりますが、その多くで依頼者様に納得いただける処分結果を獲得しております。どうぞ遠慮なくご相談ください。
解決事例
以下に当事務所が手掛けた外国人刑事事件の事例についてご紹介いたします。
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- Case 1 (示談により起訴を免れた事例)
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事案
相談者は、A国籍の男性です。永住者であるB国籍の女性と結婚し、安定した生活を営んでいましたが、ある日、お酒を飲んだ帰りにタクシー運転手とトラブルになり、傷害及び器物損壊の容疑で逮捕されてしまいました。妻であるB国籍の女性からの依頼により当事務所の弁護士が事件を担当することになりました。 -
解決方法
検察官を通じて、被害者の勤務するタクシー会社と連絡を取り、示談の意思を確認しました。被害者としても事を大きくはしたくないという意向だったため、無事示談が成立し、男性は起訴されることなく日常生活に戻ることが出来ました。
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- Case 2 (早期の弁護活動により、勾留されることなく釈放された事例)
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事案
相談者は、B国籍の男性です。日本人女性と婚姻し、「日本人の配偶者等」の在留資格を有して日本に滞在していました。ある日、お酒を飲みに行ったきり自宅に戻ってこなかったため、心配した妻が行方を捜していたところ、器物損壊の容疑で逮捕されていることが明らかとなりました。既に弁護士会から派遣された弁護士が面会に行っていましたが、その弁護士は外国人関係の事件には詳しくないとのことで、当事務所に相談に来られました。 -
解決方法
依頼を受けた当事務所の弁護士はすぐに男性と接見をし、事件の概要を把握しました。男性は、日本人の妻がおり、仕事も安定していたため、逃亡や罪証隠滅の恐れがなく、勾留の必要性がないと考えられました。そこで、当事務所の弁護士は、本人を勾留すべきではない旨を記載した意見書及び疎明資料を作成し、裁判所に提出したところ、男性は勾留されることなく、釈放されました。その後、被害者とは示談が成立し、男性は無事不起訴となりました。
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- Case 3 (判決後に仮放免を得て、身辺整理をした後帰国した事例)
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事案
相談者は、C国籍の男性です。深夜にバーでお酒を飲んでいたところ、居合わせた客とトラブルとなり、傷害の容疑で逮捕されました。男性とは別件で以前から相談を受けるなどしていたため、当事務所の弁護士が弁護人となり、弁護活動を行いました。 -
解決方法
男性は、被害者との示談を希望していましたが、示談金の持ち合わせがなく、日本国内には示談金を用意してくれるような友人知人もいませんでした。そこで、C国に住む男性の両親にコンタクトを取り、示談金を用意してもらいました。その後、検察官を通じて被害者とコンタクトを取り、無事示談を成立させることができ、執行猶予付きの有罪判決が下されました。 男性は、勾留期間中に在留期間を経過してしまったため、有罪判決が下された後は、出入国在留管理局に身柄を移送されました。男性は、日本へ残ることは希望していないものの、自宅に身の回りの物品が置かれたままになっているので、数週間程度、身辺整理をする時間が欲しいという希望を有していました。そこで、出入国在留管理局に対して、仮放免許可申請を行いました。10日程度で仮放免が許可されたため、男性は自宅に戻り、身辺整理をして、母国に帰国しました。帰国した後は、当事務所宛に弁護活動への感謝を記したEメールを送信してくれました。
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- Case 4 (勾留決定に対する準抗告が認められ、釈放された事例)
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事案
相談者は、D国籍の男性です。結婚を約束している日本人と同棲していましたが、飲食店で傷害事件をおこし、逮捕されてしまいました。当事務所の弁護士は当番弁護士として弁護士会から派遣され、本人と接見をし、事件を受任することとなりました。 -
解決方法
当事務所の弁護士は、初回接見の際に、男性には日本人の婚約者がいることや、罪を認めて示談を希望していることなどの事情を聴取しました。その後、検察官により勾留請求がなされ、裁判所が一旦それを認める決定がなされましたが、当事務所の弁護士は、婚約者の陳述書を作成するなどした上で、当該決定に対する不服申立て(準抗告)をしました。その結果、不服申立てが認められ、男性は釈放されました。釈放された後、被害者とは無事示談が成立し、不起訴処分により事件は終了しました。
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- Case 5 (外国人の被告人に保釈が認められた事例)
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事案
相談者は、E国籍の女性です。女性は内縁の日本人男性と同棲をしていましたが、入管法違反の罪により警察に逮捕勾留されました。当初は国選弁護人がついて弁護活動を行っていましたが、同弁護士は入管法に関する知識が乏しいことや、起訴後も保釈は認められないといったアドバイスを受けたことから、内縁の男性は心配に思い、入管法や外国人の刑事事件に詳しい弁護士のアドバイスを受けたいと考え、当事務所を訪れました。 -
解決方法
当事務所の弁護士はすぐに女性と面会をし、私選弁護人として弁護活動を行うこととなりました。そして、女性が起訴された後、すぐに保釈の申請を行いました。その際、当事務所の弁護士が女性のパスポートを預かることなどを保釈の条件とする旨を申請書に記載して提出した結果、無事保釈が認められました。前弁護士から保釈は認められないとのアドバイスを受けていたため、内縁の男性は大変感激しておりました。
なお、その後、当事務所の弁護士が種々の弁護活動を行った結果、無事執行猶予判決を受けることができました。