在留期間更新許可申請
在留期間の満了が近づいてきた場合には、在留期間の更新許可申請を行う必要があります。申請をせずに在留期限を過ぎてしまった場合には、オーバーステイとなり、最悪の場合には、入管、警察に拘束されることもあります。
申請は、おおむね3か月前から受け付けてもらうことができます。必ず期間内に申請を行う必要があります(期間内に許可まで受ける必要はありません)。
必要書類
- 在留期間更新許可申請の際に必要となる書類は以下の通りです。
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- 在留期間更新許可申請書(出入国在留管理局でもらうか、法務省のホームページからダウンロードできます)
- 身元保証書(ただし、日本人の配偶者・日本人の実子、永住者の配偶者、日系人・日系人の配偶者の更新許可申請の場合)
- その他日本での活動内容に応じた資料(詳細は法務省のホームページに記載があります)
- パスポート、在留カード
更新までの流れ
出入国在留管理局に在留期間更新許可申請を行うと、通常のケースでは概ね2週間~1か月程度で、自宅にはがき(通知書)が送付されます。このはがきと、パスポート・在留カード・申請受付票を持って出入国在留管理局に出向き、手続を行います。更新の手数料として収入印紙4000円を購入し、手数料納付書に貼付して提出します。
更新許可のポイント
- 在留期間更新を許可するかどうかは、概ね以下の点を考慮して判断されます。
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- 行おうとする活動が申請に係る在留資格に該当するものであること
- 法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること
- 現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと
- 素行が不良でないこと
- 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
- 雇用・労働条件が適正であること
- 納税義務を履行していること
- 入管法に定める届出等の義務を履行していること
不許可となった場合
残念なことに、更新許可申請を行ったケースの中には申請が不許可となるものもあります。更新申請が不許可の場合には、はがき(通知書)ではなく、「お知らせ」というタイトルの書面が入った封書が申請人宛に届きます。「お知らせ」には、定められた期日までに申請人本人が入管に出頭すること、(収入印紙ではなく)現金4000円を持参することが指示されています。「お知らせ」には申請が不許可であることは記載されておりませんが、封書を受け取った時点で不許可となったことは分かります。
「お知らせ」を持参して入管に出頭すると、担当官から申請が不許可であることを告げられ、その理由を説明されます。そして、出国準備の特定活動に在留資格の変更許可申請を行うか尋ねられます。変更許可申請を行うことを選択した場合には、担当官から、持参した4000円で収入印紙を購入してくるように指示がなされます。そして、収入印紙を購入して戻ると、出国準備(期間31日)の特定活動の在留資格が付与されるのが一般的です。特定活動(期間31日)の在留資格が付与された場合には、前回申請時に不許可となった理由をカバーする証拠を添付して再申請を行うことが可能です(この場合は、特定活動から元の在留資格への在留資格変更許可申請となります)。
なお、特定活動の在留資格へ変更許可申請することを選択した場合には、当初の申請に対する不許可処分(行政処分)は存在しないことになりますので、訴訟において、不許可の結論を争うことはできなくなります。
その他
- 在留期間内に刑罰法令違反を犯した場合には、「素行が不良でないこと」という考慮要素に違反することとなりますので、更新が不許可となる可能性があります。申請者の反省文など、法令違反を真摯に反省していることを立証する必要があります。
- 在留期間内に転職をした場合には、新たな職場との雇用契約書など、在留資格認定証明書交付申請時に提出するのと同程度の立証資料を揃えて提出する必要があります。
解決事例
以下に当事務所が手掛けた在留期間更新許可申請の事例についてご紹介いたします。
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- Case 1(日本人配偶者との別居後に「日本人の配偶者等」の在留期間更新許可申請が認められた事例)
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事案
相談者は、A国籍の女性で、日本人の男性と婚姻していました。しかし、次第に不仲となり別居し、離婚調停の申立てをしました。在留期間満了日が近づいてきましたが、更新に夫の協力は得られません。相談者としては、今後も日本で生活したいと考えていて、何とか在留期間の更新ができないかと思い、当事務所に相談に来ました。 -
解決方法
更新に夫の協力が得られないため、弁護士が身元保証人となり、夫の身元保証書を提出することができない理由を説明した書面を添付して申請したところ、無事更新が認められました。
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- Case 2(雇用先が個人事業主である場合に「技能」の在留期間更新許可申請が認められた事例)
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事案
相談者は、A国籍の男性です。元々、Bという会社が経営するレストランで調理師として勤務していましたが、在留期間の途中で当該レストランを退職し、そことは別の個人が営むレストランで調理師として勤務していました。在留期間満了日が近づき、相談者は、今後も仕事を続けて日本で生活するために在留期間の更新をしたいと考えました。しかし、雇用先が個人事業主である場合、法人企業と比べて事業の規模や事業実態の証明が難しいため、在留資格更新の審査も厳格となります。また、その分必要書類も多くなりますが、相談者は日本語が堪能ではないことからご不安に思い、当事務所に相談に来られました。 -
解決方法
必要書類を揃え、雇用先の実態、労働条件、経済状況等を詳細に説明した書面とそれを証する資料を添付して申請したところ、無事更新が認められました。