退去強制・在留特別許可
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オーバーステイその他により入管法上の国外退去の事由(退去強制事由)が存在する外国人は、日本国外から退去する必要があります。
しかし、退去強制事由が存在する場合であっても、法務大臣は、その外国人の在留を特別に許可するべき事情があると認めるときは、在留を特別に許可することができるとされています。この法務大臣による許可は、一般に「在留特別許可」と呼ばれています。
退去強制手続が進んでいる事案の大部分については、入管の認定した事実関係(退去強制事由の存在)自体には誤りはなく、退去強制事由の不存在を争うことは困難です。そのような場合に、弁護士は、外国人に在留特別許可がなされることを求めて、証拠の収集、意見書の提出、インタビューへの立会等を行います。 -
在留特別許可が見込まれる事案
出入国在留管理局は、どのような場合に在留特別許可がなされるのかについて、ガイドラインを公表しています。ガイドラインによると、以下のような事案では在留特別許可が見込まれます。
- ① 退去強制の対象となっている外国人が日本人や特別永住者の子である場合
- ② 日本人や永住者、定住者などの在留資格を有する外国人との間で婚姻が成立しており、配偶者との間に実子がいる場合(あくまでも実子であることが必要ですので、養子は含まれません)
- ③ 難病の治療を必要としている場合
- ④ 出入国在留管理局に自主的に出頭し、不法滞在であることを申告した場合
- ⑤ 長期間に日本に滞在しており、日本への定着性を有する場合(滞在期間はおおむね20年以上を要すると言われています)
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在留特別許可を得るために提出すべき書類
事案に応じて出入国在留管理局から提出すべき書類を指定される場合もありますが、それ以外の書類を提出してはいけないということではありません。退去強制手続に付されている外国人にとって有利と思われる証拠はできるだけ多く提出するとよいでしょう。
また、出入国在留管理局に提出する書面については、弁護士が作成した書面よりも当事者本人が自ら作成した書面が好まれるように思います。作成方法についてもパソコンで作成するよりも、手書きで作成したものを提出するように求められることもあります。一見不合理に思われますが、出入国在留管理局はこのような手間のかかる手続を当事者が行うことによって、当事者の事件に対する熱意等を図っているとも思われます。面倒がらずに時間をかけて入管の心に響く書面を作成することが望まれます。 -
収容された場合の対処方法
退去強制手続の過程で出入国在留管理局に収容された場合、その身体拘束を解くために仮放免の手続を取ることができます(仮放免の詳細については後述します)。
また、退去強制令書の収容部分について執行停止を求めて提訴することも可能です。ただし、近時はこの申立てが認められることはほぼないようです。
再審情願
出入国在留管理局から退去強制令書が発付された後に被退去強制者をとりまく事情の変更(結婚、子の出生、難病の発症など)が生じたことを理由として、出入国在留管理局に対して、退去強制令書の発付を撤回し、在留特別許可を付与することを求める手続です。解決事例
以下に当事務所が手掛けた退去強制・在留特別許可の事例についてご紹介いたします。
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- Case 1 (在留特別許可により定住者の在留資格が得られた事例)
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事案
相談者は、A国籍の男性です。20年以上前に留学生として来日しましたが、学校を終了した後も20年以上オーバーステイの状態で日本に滞在を続けました。相談者は、20年以上日本に滞在していると正規の在留資格を取得できる可能性があるということを知人から聞き、当事務所に相談に来られました。 -
解決方法
弁護士とともに出入国在留管理局に出頭し、不法残留であることを申告しました。その後、職場の同僚、友人・知人から多数の嘆願書を取得し、相談者の人柄・人望や、20年間以上平穏に日本で生活してきたことなどを多数の証拠を添えて訴え、弁護士の意見書とともに提出しました。審査に1年以上の期間を要しましたが、最終的に在留特別許可により定住者の在留資格を取得することができました。
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- Case 2 (在留特別許可により永住者の配偶者等の在留資格が得られた事例)
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事案
相談者は、B国籍のご夫婦です。ご主人は、技能実習生として来日しましたが、オーバーステイとなり、その後、永住者として日本で生活をしていた奥様と知り合い、結婚しました。ご夫婦は、今後も日本で生活をしたいと考え、当事務所に相談に来られました。 -
解決方法
弁護士とともに出入国在留管理局に出頭し、不法残留であることを申告しました。その後、夫婦関係が真摯なものであることを証明する多数の証拠と在留特別許可を認めるべきである旨記載した弁護士の意見書を提出し、口頭審理にも同席しました。審査に1年以上の期間を要しましたが、最終的に在留特別許可により永住者の配偶者等の在留資格を取得することができました。
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- Case 3 (在留特別許可により定住者の在留資格が得られた事例)
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事案
相談者は、日本人男性とC国籍の女性の夫婦です。女性には、前夫との間に生まれた18歳になる男の子がいます。女性は、子らと一緒に日本で生活したいと考え、まずは短期滞在の在留資格で呼び寄せました。その後、定住者の在留資格に変更許可申請をしましたが、不許可となり、そのままオーバーステイとなってしまいました。出入国在留管理局での退去強制手続は、当事務所ではない別の事務所の弁護士が担当し、進めていましたが、在留特別許可を得ることはできず、退去強制令書が発付されてしましました。夫妻は、何とかして子を日本に残したいと考え、当事務所に相談に来られました。 -
解決方法
裁判所に対して、退去強制令書発付処分取消請求訴訟を提起しました。当初、国側は争う姿勢を示していましたが、何度か準備書面のやりとりをした後、出入国在留管理局の担当官から連絡がありました。担当官によると、再審情願をしてもらえれば、定住者の在留資格を付与するので、訴訟については取り下げてほしいとのことでした。これを受け、再審情願の申請をしたところ、しばらくして、子らには在留特別許可により定住者の在留資格が付与されました。その後、訴訟は取り下げて終了となりました。
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- Case 4 (在留特別許可により「日本人の配偶者等」の在留資格が得られた事例)
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事案
相談者は、D国籍の男性です。薬物関係の罪を犯したため、執行猶予付きの有罪判決を受け、退去強制手続が開始されました。男性は、日本人の女性と婚姻をしており、お子さんも日本にいるため、今後も日本で生活をすることを望んでいました。何とかして日本で生活をする方法はないかと考え、当事務所に相談に来られました。 -
解決方法
退去強制手続が開始された当初に、在留特別許可を認めるべき事情を記載した意見書を作成するとともに、その裏付けとなる立証資料を多数用意し、担当官に提出しました。その結果、数回のインタビューを経た後、口頭審理を経ることなく在留特別許可を得ることができました。早期の対応が良い結果を生んだ事例の一つです。
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- Case 5 (在留特別許可により「日本人の配偶者等」の在留資格が得られた事例)
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事案
相談者は、E国籍の女性です。女性は30年以上前に来日し、日本人の夫と成人した娘がいますが、在留期間更新の手続きを取らずに、約25年以上もの間オーバーステイとなっていました。本人が出入国在留管理局に出頭し、不法残留であることを申告すると、出国命令に従うか、そうでなければ収容することになると言われました。母国に戻ることは考えられず、今後も夫や娘と共に日本において生活したいと考え、当事務所に相談に来られました。 -
解決方法
再度弁護士とともに出入国在留管理局に出頭し、出国命令ではなく退去強制手続(在留特別許可申請)に切り替えました。その後、夫婦関係が真摯なものであり、婚姻が安定かつ成熟していることを証明する多数の証拠と、在留特別許可を認めるべきである旨記載した弁護士の意見書を提出し、口頭審理にも同席しました。審査には約4ヶ月の期間を要し、最終的に在留特別許可により日本人の配偶者等の在留資格を取得することができました。
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- Case 6 (在留特別許可により「永住者の配偶者等」の在留資格が得られた事例)
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事案
相談者は、F国籍の男性です。10代のころより日本に在住し、永住者の在留資格を有しておりましたが、薬物関係の罪を犯したため、執行猶予付きの有罪判決を受け、退去強制手続が開始されました。男性は、長年日本を生活の本拠としていたことや、同じく永住者の在留資格を有する女性と婚姻をしていたことなどから、今後も日本で生活をすることを望んでいました。何とかして日本で生活をする方法はないかと考え、当事務所に相談に来られました。 -
解決方法
相談者には日本に多くの友人知人がいたため、その方たちに嘆願書を作成していただくなど、在留特別許可を付与すべき事情を裏付ける証拠を多く集めるとともに、弁護士の意見書を作成して、担当官に提出しました。その結果、数回のインタビューを経た後、無事、在留特別許可により「永住者の配偶者等」の在留資格を得ることができました。
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- Case 7 (在留特別許可により「日本人の配偶者等」の在留資格が得られた事例)
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事案
相談者は、G国籍の男性です。男性はもともと「技能実習」の在留資格で日本に滞在していましたが、在留期間更新の手続を取らずにオーバーステイになっていました。交際していた日本国籍(外国籍より帰化)の女性と婚姻をしたことにより、今後も日本において生活するために正規の在留資格を取得したいと考え、当事務所に来られました。 -
解決方法
相談者は婚姻したばかりであったため、夫婦関係が真摯なものであり、婚姻が安定かつ成熟していることを証明する証拠や、夫婦が独立して生計を営むに足りる十分な収入資産があることを証明する証拠を、弁護士の意見書とともに提出しました。そうしたところ、約6カ月の審査期間を経て、在留特別許可により日本人の配偶者等の在留資格を取得することができました。
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- Case 8 (在留特別許可により「短期滞在」の在留資格が得られた事例)
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事案
相談者は、H国籍の男性です。15年以上前から日本に在住し、技術・人文知識・国際業務の在留資格を有しておりました。しかし、永住申請の際に、過去の退去強制歴が発覚し、在留資格が取り消されたことから、退去強制手続が開始されました。 男性は長年日本を生活の本拠とし、今後も日本で仕事をして生活していくことを望んでおり、母国に帰ることは考えられなかったことから、当事務所に相談に来られました。 -
解決方法
相談者は、在留資格が取り消されるまでは真面目に勤務し、多くの友人や知人がいたため、元勤務先の上司や友人知人、家族に作成していただいた嘆願書に加えて、弁護士の意見書を作成し、口頭審理にも同席しました。その結果、約1ヶ月の審査期間を経て、在留特別許可により「短期滞在」の在留資格を得ることができました。